10.05.2011

人は旅をすると大きくなれるのか

Robert Rauschenberg

人は旅をしなくては、うつわの大きな人間にはなれないのでしょうか。旅をするという行為を客観的に他人が評価すると、大抵の場合、まるで解脱をした人のように感覚的に評価してしまうでしょう。『あの人、インドにぶらりいってたみたいよ。』なんて誰かが囁こうもんなら、その人の高感度は不思議と上がります。極端に言えば、ガンジーになって帰ってきたのだろうかと思う人もいるかもしれません。インドに対して、どのようなイメージがあるのでしょうか。インドに行けば、ガンジーになれるのでしょうか。

結論から言うと、ガンジーにはなれません。人は旅をすると、どうなるか。知らない土地をじっくり歩き、違う人種の人と関わりをもち、その土地の水を飲む。生まれた土地で生きてきた人と何が違うのでしょうか。旅をせずとも、幸せに過ごすことはできますが、自分の故郷や、家族、自分を見つめる機会には恵まれにくいはずです。

あなたは必ず旅先では、やっぱ日本いいわ、お母さんに会いたいわ、と思うでしょう。故郷の景色がよぎることでしょう。

何かと旅をした人へのイメージが膨らむ、何か成し遂げたように見えるのは、間違いではないのです。確実にガンジーにはなれませんが、自分の中の感情や感覚は研ぎ澄まされ、内面の世界が広がります。

旅をすることは、自分の内面の広がりの中を旅することなのです。
私自身、日々に追われて、外の世界へ発信することが義務となり、内側の自分と話をすることが本当に少なくなっています。
私は義務を果たさなければなりませんが、内面の広がりの中でふらふらとすることが好きです。感覚的で、直感的な私は、難しい義務など理解すること自体が難しく、外側ではうまくやれません。物思いにふけり、考えごとばかりする私は、全く生産性がありません。もっぱらこのようなことばかり考えています。どう生きたいのか。選択するのは私たち自分のはずで、誰かのせいではありませんし、誰かがどうにかしてくれるものでもありません。

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